世界をまたにかけた仕事をしたい。そしてどんな時もコミュニケーションを大切に、血の通った仕事を心がける。 / Staff Interview YUJIRO INOUE

学生の頃、バックパックでアジアの国々を旅していました。観光客がいないようなところにあえて行き、現地の本当の姿を見ることをテーマに各国を巡りました。その中でもカンボジアのある村に行った時のことがとても印象に残っています。ある意味、私の人生の方向を決定した出来事だったのかもしれません。
そこは山間の村でした。当然水道や電気などのライフラインも整備されていません。子供たちが水場まで毎朝、水を汲みに行くようなところです。私の持っていたちょっとしたお菓子をプレゼントすると、「見たこともないものだ」と言ってとても喜んでくれる。 その時、思いました。世界にはライフラインや物流が整備されていない国やエリアがたくさんある。日本では当たり前のようになっているインフラを、このような国に広め、貢献できる仕事に就きたいと。これが物流企業を志望し、郵船ロジスティクスに入社したきっかけとなりました。

入社以来、航空・海上輸出のカスタマーサポート業務に従事しています。輸出のカスタマーサポートとは、簡単に言うと、お客様と密に連絡を取りながら、貨物を海外に輸送するための業務を一貫して手配することです。しかし、これがそう簡単なことではないのです。ここでは私の経験したとても印象深いケースを紹介します。
ある日、お客様から「どこの物流会社からも無理だと断られてしまう貨物なのですが、御社で何とかなりませんか?」との問い合わせがありました。医療関連に使用する化学品なのですが、どうやら危険品として特別な輸送が必要ということで、難航していた様子。そこでその貨物の情報を調べてみると、国際法上の規則では、かなり輸送が難しい貨物でした。その理由の一つが、輸出する国と受入れる国側の政府間での許可が必要であること。さらには万が一その危険品が漏れ出し火災が発生した際、どのような現象が起こるのかを詳細に記載したレポートを提出すること。そしてその条件全てが仮にクリアになっても、実際に貨物を運ぶ航空会社が引き受けてくれないと輸送は実現しません。
「やってみよう」。担当営業と一緒に、受入国側にいる当社の現地スタッフと綿密に連絡を取り合いながら、政府間の許可を得る。同時にお客様と細かな梱包の仕様まで打合せを行い、さらには複数の航空会社との交渉も進めました。当初はなかなか良い返事をもらえず、諦めかけたこともありましたが、最後にやっと輸送を引き受けてくれる航空会社を一社見つけることが出来ました。
そして当該貨物を搭載した飛行機が無事に飛び立った時は、強い達成感と喜びを感じました。できないと諦めてしまうのではなく、挑戦することで道は必ず開けるのだということを学びました。

国際物流と言うと、一見華やかそうに思われますが、実際にやることは地道な作業や粘り強い交渉事が多い泥臭い仕事です。しかし、これも考え方次第で、自分の携わっている仕事が、世界のどこかで役立っていることをイメージすると、大きな喜びを感じることもできるのです。考え方やイマジネーションがものすごく大切だと思います。
例えばお客様からのご依頼を、ただ右から左に流していくのではなく、そのビジネスの背景や状況までしっかり把握し、想像して工夫することもそのひとつ。それが付加価値となり次のビジネスに繋がるはずです。
郵船ロジスティクスには、このような想像力を持った人が多いと感じています。だからこそ仲間の置かれている状況や立場を理解し、一緒に協力して何とかしようという一体感が生まれますし、それがこの会社の大きな魅力になっているのだと思います。
